ターンを前借りできるブレイブと、防御しながらターンを溜められるデフォルトを備えた斬新なシステムで人気を博した、スクウェア・エニックスのブレイブリーデフォルト フライングフェアリー(略称:BDFF)。
しかし、続編として発売されたブレイブリーセカンドでは、担当の変わったストーリーや音楽、ネットスラング等を使ったネタなどが賛否両論となり、評価は真っ二つに割れました。
開発チームでも「セカンド」についての評判を把握しているようで、プロデューサーからも反省のコメントが出されています。
まずは『ブレイブリーセカンド』についてお詫びをさせてください。『ブレイブリーセカンド』では、多くの期待をいただいたにも関わらず、ファンの皆様の期待に沿いきれていない部分があったと感じております。『ブレイブリーセカンド』での反省が、いま僕らのチームが手掛けているすべてのタイトルの制作の根底に強く根付いています。
『ブレイブリーデフォルトII』開発者インタビュー。未経験者にも遊んでほしいという強い思いを込めた『II』への意気込み – ファミ通.com
それも踏まえて原点回帰、王道のRPGを目指してつくられたブレイブリーデフォルトシリーズの第3作が「BRAVELY DEFAULT Ⅱ(ブレイブリーデフォルト2)(略称:BD2)」
ラスボスを倒しクリアしたので、そのレビューと個人的な評価を紹介します!
ゲーム情報と私の評価&3行レビュー
3行でショートレビュー
- どこかで見たような「光の戦士」シナリオと、熱さを取り戻したRevo氏の音楽
- 特に目新しさはないおなじみのジョブアビリティシステム。敵は強くやりごたえあり
- スクエニ人気RPGの要素を取り込んでつくった、良くも悪くも王道で保守的なRPG
基本情報と総合評価
タイトル | ブレイブリーデフォルト2 |
---|---|
発売日 | 2020年2月26日(金) |
対応ハード | Nintendo Switch |
希望小売価格(税込) | 7,480円 |
プレイ人数 | 1人 |
推定クリア時間 | 60時間 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
ジャンル | RPG |
レーティング | CERO C(15才以上対象) |
メタスコア | 76点 (2021/8/11時点) ![]() |
個人的評価 (5点満点) |
(3.0)
|
※メタスコア:世界中のさまざまなウェブサイトからレビューを取得し、数値化しているサイトによるスコア
ブレイブリーデフォルト2ってどんなゲーム?
キャッチフレーズは「王道のRPG」
ブレイブリーデフォルト2のTVCMにて頻繁に使われているキーワードは、「王道のRPG」。
「クリスタルに導かれし光の4戦士」と聞けば、FF5などスクエニの過去の人気作がいくつか思い浮かぶプレイヤーも多いはず。
ブレイブリーデフォルト2では、風・土・水・火の4つのクリスタルに導かれた光の戦士たちが世界に平和をもたらすために悪の帝国と戦う……といった、まさに王道とでもいうべきストーリーが展開されます。
目新しさや先の読めないストーリーを求める人には物足りないかもしれませんが、ある意味ベタとも言える奇をてらわないシナリオを安心して楽しみたい人にとっては間違いない1本、とも言えるでしょう。
プレイヤーのターンを操作できるブレイブとデフォルト
「ブレイブリー」シリーズの特徴であるターンの前借り・ブレイブ、ターンの貯金・デフォルトシステムは今作ももちろん採用。
例えば特にすることがないターン、敵がデフォルトしていたり強力な技を仕掛けてきそうなときにはデフォルトで防御しつつターン(BP)を溜める。
敵がデフォルトを解いたときや、味方のBPが溜まり準備ができたときにはブレイブで一気に攻める。
あるいはピンチのときにもブレイブで一気に味方を復活・回復させることが可能。
通常のターン制よりも、さらに戦略性の高いバトルが楽しめます。
おなじみのジョブアビリティシステム
これまでのブレイブリーシリーズやFF5などと同様の、ジョブ・アビリティシステムをブレイブリーデフォルト2でも踏襲。
それぞれのジョブの特徴を活かして自由に転職させ、成長していくことで自分なりのキャラクター育成ができます。
覚えたアビリティは5枠まで自由に付け替えることができ、例えば戦士系ジョブに魔法を使わせたりと多彩な組み合わせが可能。
2Dと3Dをかけ合わせたグラフィック、音楽担当にはRevo氏が復帰
過去のブレイブリーシリーズに「オクトパストラベラー」を組み合わせたような、2D×3Dのファンタジー色あふれるグラフィックがブレイブリーデフォルト2の特徴のひとつ。
また、ここでもセカンドでの反省を活かしたのか、音楽担当には初代ブレイブリーデフォルトで評価の高かったRevo氏が復帰。
ゲームとマッチした全体的なクオリティの高さはもちろん、ここぞの場面での盛り上げ方が素晴らしい。
音楽の良いゲームはたくさんありますが、特に最終盤の「音楽使ってここまでテンション上げてくるか……!」というほどの演出は本当にさすがの一言でした。
※以降、多少のネタバレがあるので注意※
おすすめポイント
ジョブやアビリティが多彩で組み合わせるのが楽しい
ブレイブリーデフォルト2にも、過去作と同様に多くのジョブやアビリティが登場します。
おなじみのコマンドや魔法のほか、説明だけでは想像がしにくい(少なくとも私は)初見のアビリティまで、非常に多彩。
どう組み合わせれば強力なボスを倒せるのか、考えながらあれこれ試行錯誤するのはこのゲームの大きな楽しみの1つ。
普通に進めていくとボス戦はかなり強く大変、やりごたえがある
ブレイブリーデフォルト2の道中に登場するボスは、レベル上げなどせずにそのまま向かうとあっさり一蹴されてしまう強い奴らばかり。
序盤のボスでも即死級の威力がある攻撃をバンバン放ってくるので、フェニックスの尾やレイズには頻繁にお世話になることでしょう。
少なくともヌルいゲームでないことは確かなので、手応えのあるRPGをやりたいプレイヤーならばきっとそこに楽しさを見出してくれることでしょう。
最終盤の演出はブレイブリーデフォルトらしく言うことなし
ブレイブリーデフォルト フライングフェアリーのラスボスでの演出の素晴らしさは、おそらく多くのプレイヤーが認めるところだと思います。
今作ブレイブリーデフォルト2での最終盤の演出も、それに匹敵する盛り上がりを見せてくれます。
※ネタバレ防止のため画像は貼りません
特に音楽がいいんですよね。やっぱりブレイブリーシリーズはRevo氏がいないと始まらない……!
正直シナリオやそれまでの演出に対する個人的評価はそう高くないんですが、最後の最後で少し評価を上げてしまいたくなるほどでした。
2D・3Dを組み合わせた美しいグラフィックと音楽は良い
グラフィックは、基本的には「奥行きのある2D」とでも言うべきもの。ドット絵ではありませんが、感覚としてはオクトパストラベラーに近い。
リアルな3Dもいいですが、ブレイブリーデフォルト2はファンタジー感をより演出する2Dっぽさを残した3Dなので、物語の世界をより感じることができるように思います。
初代ブレイブリーデフォルトの音楽を担当したRevo氏が今作では復帰したのも大きい。
個人的にはどちらかと言えば初代ブレイブリーの方が好きではありますが、今作の2でもバトル曲や街の曲、そして最後の盛り上がりとさすがの手腕を発揮されています。
曲が気に入ったら、ぜひサントラも聴いてみてほしいところ。
BRAVELY DEFAULT II Original Soundtrack(初回生産限定盤)(特典なし)
BRAVELY DEFAULT II Original Soundtrack(通常盤)(特典なし)
バトルスピードが変更できるのでサクサク進めることもできる
ブレイブリーデフォルト2では、バトルスピードが4段階に変更可能。
例えばレベル上げのザコ敵戦はスピード最速にしておいて、ボス戦では通常の速度にもどして演出を楽しむ、といったことが可能に。効率よく進めたいときとじっくり見たいときで速度を調整できるのは嬉しいですね。
ただ、普段から高速に慣れてしまっていると、いざ通常の速度に戻したときにスローすぎて逆にストレスに感じてしまう……という問題も。
雑魚戦とボス戦で速度差をつけすぎると微妙だったので、雑魚戦:スピード3、ボス戦:スピード2にしておくと私の場合はちょうどよく感じました。このあたりはお好みで調整するといいでしょう。
気になるところ
「ゲームとしての姿勢が、1がブレイブなら2はデフォルト」
上のフレーズはどこかで見かけたものですが、言い得て妙だなと思いました。
ブレイブ・デフォルトという画期的なシステム、FFの要素を取り入れつつもオリジナリティのあるグラフィックやシステムなど、さまざまな新しいゲームの形を見せてくれた初代BD。
それに対し、BD2には特に目新しいところが見当たりません。
良く言えば王道、悪く言えば陳腐な、FF5やスクエニのRPGをやってきたプレイヤーならどこかで見たことがある「光の戦士とクリスタル」ストーリー。ジョブアビリティも同様。
私個人としては先の読めないストーリーに惹かれる傾向があるので、BD2のシナリオは物足りなく感じました。
セカンドが失敗したことで王道に帰ろうとしたのはわかりますが、正直いくらなんでも守りに入りすぎでは?と感じたのも事実。
初代BDがブレイブなら2はデフォルト、まさに私も同感です。
全員いいヤツすぎてキャラに感情移入しづらい。もう少し掘り下げがほしい
今作ではメインのキャラクターが4人いるんですが、見た目や口調など表面上の違いはあるものの、揃いも揃ってみんな正義感が強く良いヤツばかりなんですよね。大義のために常に一致団結、一糸すら乱れることがない。
自分に甘えたり、欲望に流されたりすることが一切なく、人間らしさを感じない。意外な言動もしないので見なくても大体どうなるか先が読めてしまう。
味方は白、敵は黒と明確に線が引かれていて、入り乱れるような状況もほとんどない。
また、それぞれのキャラクターに関する掘り下げももう少しほしかった。
どこかで見たようなストーリーも含め、BD2の世界に感情移入しきれなかったなというのが正直な感想です。
詰めの甘さが随所に見えてしまう
なんだかあら捜しをしているようで申し訳ないのですが、詰めの甘い部分が随所で目についてしまって「あれ?なんで?」と思うことが結構あったんですよね。そのおかげでせっかくのゲーム体験がちょこちょこ邪魔されている印象。
以下にその一部を挙げます。
- 場面切り替えで入るロードが、長すぎるというほどではないが若干ストレス
- パーティチャットやバトル開始時などに、処理が追いつかずカクついたり操作不能時間がある
- ジョブ・アビリティ・装備のテンプレート保存(モンハンで言う「装備のマイセット」)がないため、例えばザコ戦からボス戦の切り替え時にかなり面倒な組み換えを毎回強いられる
- バトルインフォに重要な情報である「デフォルト中」がないため、記憶や見た目で判断するしかない
- 他の攻撃アビリティに比べ攻撃魔法が弱すぎて使う場面がほとんどない。威力を倍にしてもいいくらい
- ジョブチェンジ時のパラメータ増減が、重量オーバーのせいで正確に把握できない
- クリアしたクエストリストが見られないのでコンプリートが困難(ムービーリストはあるが、クエストとの対応関係は見ただけではわからない)
- ミニゲームB&Dには、カードマスター的な強いラスボスを用意してほしかった
- 終盤に他プレイヤーが関わってくる場面があるが、唐突だしなぜそうなったのかの説明もない
- デフォルトや回復魔法にまで反応してくる「ジャマー」がかなりストレスフルだし、一部を除き対抗手段もない。真っ向勝負したいのに邪魔されている感覚
ジョブやアビリティ、装備を組み合わせて敵に打ち勝っていくのが醍醐味のはずなのに、その辺のシステム周りでちょくちょくストレスを感じてしまう印象でした。
「ブレイブリーデフォルト2」の評価
ブレイブリーデフォルト2を真ボスクリアまでプレイした私の評価は、以下の通りです。
グラフィック
2Dと3Dを組み合わせた美麗なグラフィック。ファンタジーの世界を安心して楽しめる
音楽
Revo氏の復帰は大英断。次作もぜひRevo氏の新しい世界が見たいと思わせてくれる
システム
往年のファンにはおなじみの、シリーズの特徴であるブレイブ・デフォルト、およびジョブアビリティ。普通に楽しいが従来作の焼き直しであり驚きや目新しさはない
シナリオ
光の4戦士がクリスタルを取り戻して世界を救う、ありふれたストーリー。予定調和的で先が読めてしまうので、惹き込まれる要素はほとんどなかった
ゲーム性
難易度はそれなりに高く、ジョブやアビリティ、装備を組み合わせて挑む楽しさはある。ただ、バランスにかなり偏りがあり一部の技が突出して強いため、結局ボス戦ではワンパターンになりがちな面も
総合評価とブレイブリーデフォルト3への期待
「セカンド」での失敗から、原点に帰ってこれまでに実績のあるシステムとストーリーを採用することで一定の売り上げを確保している様子のBD2。
個人的には、普通に楽しめたもののこれまでのRPGの焼き直し感は否めず、物足りなさも感じたというのが正直なところ。
すでにある型に当てはめて作ったものなのでそれなり以上のクオリティは約束されているのかもしれませんが、こういう作品をあまり高く評価するのはどうかと個人的には思うんです。
スクエニのゲームが似たようなストーリーやシステム、あるいはリメイク作品ばかりになったらつまらない。
※FF7リメイクのような、もはやリメイクの枠を超えているようなものは除く。第2部楽しみにしてます
一方で、FF5や光の4戦士といったスクエニ系のRPGをあまりやったことがないプレイヤーであれば私のように既視感を感じることなく、より楽しく遊べるかもしれません。
そういう意味では、特に若い世代を取り込むことに関しては(レビュー等を見ても)ある程度の成功を収めているのかも。
この流れであればおそらく「ブレイブリーデフォルト3(仮称)」も発売されると思うので、そのときにはぜひ往年のファンも唸るような”ブレイブ”な作品を見せてほしいと個人的には願っています!